靴職人が語る
靴職人が語る
Q:ヒールアップシューズ(シークレットシューズ)を作り始めた理由やきっかけは何かありますか?
私の靴職人としての師匠でもある社長に、どうしてヒールアップシューズを作ろうと思ったのか聞いたことがあるんです。
答えは、「単純に自分が履きたいと思った」というものでした(笑)
日本にシークレットシューズが出始めたのはおよそ40年ほど前からです。当時社長が買って履いたみたそうなんですが、それはもうひどい履き心地だったそうです。で、「靴メーカーやってるんだから、自分が気に入るシークレットシューズを作ればいい!」と社長は思ったわけです。それがスタートですね。
40年前に社長の強い思いから始められたヒールアップシューズ生産を今では息子である私が引き継ぎ、より履き心地の良い靴を提供できるように試行錯誤しております。
Q:アップシューズを作るにあたって苦労したことは何ですか?
日本で最初に作られたシークレットシューズは、アメリカ発祥の「背が高くなる靴」をそっくりそのまま真似したせいか、とてもひどいできだったと社長から聞いたことがあります。
「日本人の足に合う靴は、やはり日本人が作るしかない。」ということで最初は試行錯誤の連続です。常に履き心地の良さを求めるのは、今でも大事にしている精神ですね。
一番大変だったのが、インヒール(内部の上げ底部分)でした。履き心地もかかとの安定感も大きく影響されますから。形状も素材も失敗を繰り返して完成したのがヒールアップシューズなんです。そして、更に改良を重ねてできたのがNEWヒールアップシューズです。
Q:なぜ、本革製にこだわるのですか?
本革と合皮の最大の違いは、革が呼吸するかどうかという点なんです。男性は女性と比べて発汗量が多いでしょ。だから通勤などで長時間使用する靴が合皮だと、靴の中の蒸れは本革とは比べ物にならないほどひどいし、不衛生になるんです。
だから、原材料費がどんなに高くても、本革であることはゆずれないんですよ。
Q:靴の中に入れるタイプのシークレットインソールは製造しないのですか?
シークレットインソールというのは、お客さんが持っている一般の靴の中に上げ底用の中敷を入れるやつですよね。あれだと、靴の内部が極端に狭くなるでしょ。もともとかかとの深さが5~6センチしかない一般靴に数センチのインソールを入れるのは無理があるんですよ。
1サイズ大きめの靴にシークレットインソールを入れたって、かかとの深さなんて数ミリしか変わらないし、かかとのカーブも合わないから、履き心地の悪さはカバーできないんですよ。背が高くなっても気持ちよく履けなければ意味がないでしょ。
お客さんから「北嶋ブランドのシークレットインソールを作って欲しい」という要望もたまにあるんですけど、うちではシークレットインソールは作りません!
今では多くのメーカーがシークレットシューズ、ヒールアップシューズ、トールシューズと色々な名前で背が高くなる靴を出していますよね。少ないですけど特に悪質なメーカーは、普通の靴の木型をそのまま利用してシークレットインソールを入れて販売したりしてるんですよ。海外の輸入物なのに、完全国産を謳ってたり。
だけど、うちでは木型も抜き型もアウトソールもヒールアップシューズ専用に一から作ってるんですよ。
Q:ヒールアップシューズのこだわりはありますか?
脱いでもわからないアップシューズであることは、うちの靴の特徴でもあるんですが、内緒で履く靴を作っているわけではないんです。
一般的なシークレットシューズといえば、隠れて、こっそりとといったネガティブな印象を受けますが、うちのヒールアップは「堂々とスタイルアップを楽しむ靴」であってほしいんです。
美脚ジーンズが流行っているように、美脚・脚長シューズとしてお洒落の一環となるような靴を作りたいんです。
だから、少量ロットの国内生産で多様なデザインを生み出すように努力しています。
Q:最後に実際に履いてくださるお客様へのメッセージをお願いします!
いつも弊社の靴を愛用して下さりありがとうございます。履き心地を第一に、長く愛される靴を目指して企画、生産しております。国産の良さを履いて実感していただくためにも、妥協せずこだわりぬいたヒールアップシューズを今後も提供していきます。お客様のご意見が新製品の企画、開発へとつながることも多くあります。ぜひ、貴重なご意見をお聞かせください。